海辺の公園

赤い公園のファンブログです。

目次

このブログはなんなのか
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/aboutthispark

Blu-Ray

『THE LAST LIVE「THE PARK」』DISC 3: 津野米咲Demo Collection
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/thelastlivedisc3
『THE LAST LIVE「THE PARK」』DISC 2: Broadcast LIVE & Music Videos
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/thelastlivedisc2
『THE LAST LIVE「THE PARK」』DISC 1: THE LAST LIVE 於中野サンプラザホール
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/thelastlivedisc1

アルバム・ミニアルバム

5thアルバム『THE PARK』(DISC 2)
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/THEPARKDISC2
5thアルバム『THE PARK』(DISC 1)
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/THEPARKDISC1
ミニアルバム『消えない - EP』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/kienai-EP
ベストアルバム『赤飯』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/sekihan
4thアルバム『熱唱サマー』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/nesshousummer
3rdアルバム『純情ランドセル』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/junjourandoseru
2ndアルバム『猛烈リトミック
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/mouretsurythmique
1stアルバム『公園デビュー
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/kouendebut
ミニアルバム『ランドリーで漂白を』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/laundrydehyouhakuwo
ミニアルバム『透明なのか黒なのか』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/toumeinanokakuronanoka
自主制作ミニアルバム『ブレーメンとあるく』
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/walkwithbremen

シングル

11thシングル「オレンジ/pray」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/orengepray
10thシングル「絶対零度
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/zettaireido
9thシングル「journey」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/journey
8thシングル「恋と嘘
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/koitouso
7thシングル「闇夜に提灯」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/yamiyonichouchin
6thシングル「Canvas
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/canvas
5thシングル「KOIKI」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/KOIKI
4thシングル「絶対的な関係/きっかけ/遠く遠く」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/zettaitekinakankei
3rdシングル「風が知ってる/ひつじ屋さん」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/kazegashitteru
2ndシングル「今更/交信/さよならは言わない」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/imasara
1stシングル「のぞき穴」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/nozokiana
自主制作シングル「はじめまして」
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/hajimemashite

その他リソース

対談・インタビューなど
https://tidalpark.hatenablog.jp/entry/interview
当初は特定のアルバムやシングルの内容に焦点を当てていないインタビューや対談だけをここに置いていましたが、インタビューや対談はすべてここにまとめることにしました(2021-08-24現在移行中)。古い順に並んでいます。

このブログはなんなのか

ブログの説明

赤い公園のファンブログです。
2020年12月に「オレンジ」を知り、2021年2月に赤い公園のファンになった筆者が自分の感想をメモしています。あとインタビューやMVなどのインターネット上にあるリソースへのリンクを置く場所にするつもりです。
感想はこれまでは基本的にTwitterに最初に上げていたので、それをまとめたものをここに置きますが、今後は直接ここに書き込んでいくことも増えていくかと思います。
筆者は音楽の素養が一切ないので本当に感じたことだけを書いています。楽器についての記述など間違っていることもあるかと思いますが、もし読んでいて気がついたことがあれば教えてください。

記載のルール

シングルとアルバム両方に入っている曲がある場合はアルバムのほうに載せました。ただしヴァージョンが違う場合はその限りではありません(「のぞき穴」だけだと認識しています)。

「対談・インタビューなど」についてはインタビューや対談、コメントなど、メンバーたち本人の言葉が入っているものにはリンクを張る、という方針にしています。当初はシングルやアルバムのリリースのタイミングで行われたと思われるインタビューなどは当該シングルやアルバムのところに置いていましたが、今後すべて対談・インタビューなどのページに移す予定です。(2021-08-24現在作業中)
ウェブ上で見つかるものはなるべく載せている心算ですが、まだ抜けているものもあると思いますので、もしこのインタビューが抜けているなどあればコメント欄やTwitterなどで教えてください。

2回目の10月18日に寄せて

こんなツイートを見かけた。


しゃがんでる、とは自分は思わないけれど、「次のジャイアントステップが絶対にあった筈だ。」というのには同意する。次の一歩はきっと大きかったと思っている。

小出祐介氏の言う「逆サイド」からやってきた赤い公園は、『熱唱サマー』まで、だんだんこっちサイドに向かって歩いてきていて。そこでバンドの再編――ほとんど破壊と再生に近いできごとを経て、それを乗り越えて、『消えない - EP』という一歩を、またちょっと変わったところに置いた。その次の『THE PARK』は、いろんな方向に同時に踏み出した一歩みたいなアルバムだったと思う。人間はひとつの方向にしか歩けないけど、音楽はそうじゃない。

だからその次には、だれにも予想のつかない、それでいてそれまでの赤い公園の音楽ともつながりを感じられるような一歩を刻んでいたに違いない、と思う。『THE PARK』で言えば、「恋と嘘」の可愛くてポップなサウンドから切なくて骨太な「夜の公園」につながったように。「14」の魂が「Yo-Ho」に触れて「Mutant」に受け継がれたように。かと思えば、どこから出て来たのかわからない、でもまぎれもなくめちゃくちゃ赤い公園的な「絶対零度」が飛び出してきたように。言っても詮無きことだけれど、時が経つほどに、聴けば聴くほどに、その先がどこに続いていたのか、次の一歩がどんな一歩だったのか、気になってしまう。

二年経った。その時はただチラ見したニュースに過ぎなかった。それから一年で「音源になっているものはほとんど全部聴いた」。その後の一年は、最初の一年ほどは聴いていないけれど、それでも赤い公園よりたくさん聴いた音楽はなかったし、いまのところそれに少しでも近づく気配がある音楽もない。今度こそ自分は新しい音楽にはまることはないのかもしれない。かりにそうだとしても、この歳になってこれだけはまったバンドがあったのだから、それはけっこう幸せなことなのだろうと思う。だめだよ、そんなこと言ってないでもっと新しい音楽どんどん聞きなよ、って、言われそうだけど。

先月末から今月頭にかけて、赤い公園のメンバーが歌った、あるいは弾いた、赤い公園の曲が相次いでこの世界に流れた。そろそろみんなそんな気分になっているのかもしれない。それを聴けたのは率直にうれしかった。
去る者は日日に疎し、かもしれないけど、奏でる人がいる限り、聞く人がいる限り、音楽はなくならない。津野さん、たくさんの素晴らしい音楽をありがとう。まだきっと聴きます。

また一年ぐらいしたら、書くと思う。それじゃあ、また。

メモ:スローモーションブルー

夏上手だねきみは 太陽を味方にして
反対の線路眺め このまま海まで行こうか
冗談交じりだね わたしを惑わすんだよ
対極のふたりと 秘密の恋心
すかしたシャツと すかした態度 すかしたシュート 恥ずかしいな
外は暑いし 最高気温三十何度 僕憶えてない
来月はがれるポスター 口が滑った (……)
スローモーションブルー ふたり太陽に染まる 蜃気楼に巻かれて隠れてみないかい
スローモーションブルー きょうはいきたいよブルー どうか思い出にしないで
おねがい スローモーションブルー


さんざん見つめても わたしは足りないよ
あの曲がふたりの 歌に聞こえてくる
詰めた席と震えた心臓 触れた二の腕 恥ずかしいな
外は暑いし (…)いじょうに鈍行の列車が眠くない
下手くそな演技でも 起こさないで 起こさないで
スローモーションブルー ふたり太陽に染まる 蜃気楼に巻かれて隠れてみないかい
スローモーションブルー きょうはいきたいよブルー どうか思い出にしないで
スローモーションブルー スローモーション
わたしの スローモーションブルー



ちょっとアップデートしました。どこのだれだかわからない人、ありがとう。

メモ:補助線

絶対零度」の歌詞が最初読んだときあんまりよくわからないというか、ぴんと来なかったところがけっこうあった。まあ歌詞というのは往々にしてそういうものであろうと思うし特に気にしていたわけでもなかったのだが、いくつかインタヴューなんかを読んでいるとどうも死海に飛びこもうとしている金魚について歌った詞であるというようなことを津野さんが(珍しく)ほのめかしていて、それを知ってもう一度歌詞を読むと最初に読んだ時よりもかなり色々わかったような気がした。図形の問題が適切な位置に補助線を引くとすっと解けるように、自分にとって「死海に飛びこもうとしている金魚」というイメージは「絶対零度」の歌詞を読み解くうえで重要な支えになった。

これはたまたまインタヴューで見つけた言葉であったけれど、そうでなくても自分が気づいたささやかなことや歌詞の小さな1フレーズから歌詞がするするっと読み解けたり、まったく新しい情景がぐぐっと立ち上がって来たりみたいなことは時々あるように思う。たとえば「MUSK」ではしばらく聴いてから不意に「ドアの目」という言葉が気になって、そこから想像する光景がこの歌の印象をそれまでよりもはるかに具体的にしてくれた。ドアの目というのはあの片目で覗くドアスコープのことを指すのだろうと自分は勝手に思っていて、そこから七色の光が広がっているのはきっと自然光が入っているのだろう、とか、まだ午前中、朝と言っていいぐらいの時間帯なのかな、とか、玄関のドアが東を向いていて外廊下のように外光が入る構造なのだろうな、とか、そんな連想がぱあっと広がったのだ。まあ、完全に自己満足ではあって、津野さんが思い描いていた光景(が仮にあったとして)とはおそらく全然違うのだろうし、他の人が聴いた時に想像する場面とも重なるところはほとんどないだろう。それでもなにか自分の中にそういうものが不意に立ち上がるという体験は大変楽しく不思議にうれしいものだった。

「ジャンキー」ではアルバム版で曲の頭に入っているなにか金属を落とす音を鍵だと(勝手に)思いこんだところから想像が始まった。『THE PARK』の感想でも書いているけど、鍵を取り落とすというのはこの歌い手がout of controlな状態にあるということを表しているような気がして、歌詞もその前提のもとに自分は聴いた。「苦しくて息を吸った 吸った息を吐いた」という二行がすごく好きだ。好きというとちょっと違うかもしれないけど、毎回すこしはっとする。人はたぶん苦しいときにしか呼吸を意識しない。心が「ひとつふたつ」うねったという表現もいい。冒頭の鍵を落とす音からサビで吐露されるその苦しさまで、なにか一本の糸がつながっているように思える。

個人的な発見だとはわかっていながらこれをわざわざ書いたのは、他の人が書いたこういうものを読むのがけっこう好きだからだ。これを読んでいるみなさんにも赤い公園の曲を聴いた時に湧いてくる勝手なイメージや、何故か気になって仕方のない細部や、ある時気がついてそれ以来その曲に対する見方が変わってしまったことなんかがあったりしないだろうか。そういうものがあったら教えてもらえると嬉しいのだけど。

赤い公園アドベントカレンダー2021(8日目):「108」

このエントリは赤い公園アドベントカレンダー2021の8日目の記事です。何を書いてもいいということですが、やはりいつも通り曲の感想を書くことにしました。今回とりあげるのは「108」です。

先日こんなことをツイートした。


ある曲が好きというのにもいろいろあると思っていて、もう耳にするだけでテンション上がって楽しい、というのもあるだろうし、旋律や歌声に引き込まれて夢中で聴いてしまう、というような曲もあるだろう。自分にとって「108」はそういう曲ではないし、この曲だけを聴きたくて再生することもない。でも、『猛烈リトミック』を聴いていてこの曲にさしかかると、だいたい毎回うーんすごい曲だなこれは、と思う。
曲そのものもなかなかにすごい。冒頭の「ほとっけっさっまーはしんだ とおいむかっしーにしんだ」のところのわけのわからない符割りとか、人間なのにさ、で強引に切り替えてサビに持っていく展開とか、耳にすっと馴染みはしないが妙に印象に残るようなところがある。和楽器を用いていないのにどこか日本っぽい雰囲気があるアレンジも面白い(これは蔦谷好位置氏の貢献が大きいかも)。とはいえ、この曲の真骨頂はやはり歌詞だろう。
あまり感情を外に見せずいつも心平らかにいるように見える人にひかれて、そういうひとに自分のために心を動かしてほしいと望むのはよくあることで、古来そういう歌もたくさんあるけれど、それがお坊さんと結びつくとびっくりしてしまう。「そんなに悟ってどうするんだい」と少し呆れたように言っているが、その言葉の裏にある思いは切実だ。この歌の「私」はお坊さんに、あるいは宗教関係の人全般に、なにか漠然とした違和感を抱いている。そして「あなた」がそちらへ近づいて行ってしまっていることに寂しさを感じている。その違和感と寂しさを合わせて歌詞にしているのだけど、そこで悟りという言葉を使っているのはなんとも大胆だし、そのことがこの曲に実にユニークなフレーバーをまとわせている。

この曲は歌詞もメロディも一気に書けたそうで、津野さんも気に入っていたみたいなのだけど、ちょっと大胆すぎた面はあったようだ。

「108」はシングルにしたかったんですけど、歌詞の問題で難しかったっていう。
m-on music -- 赤い公園 - 亀田誠治、蔦谷好位置、蓮沼執太、そしてKREVAまで! ニュー・アルバム『猛烈リトミック』について津野&佐藤にインタビュー。
赤い公園のシングルが最終的に何枚出たか*1を思えば「シングルにしたかった」というのは相当な高評価であると言えよう(まあしたかったというだけならたくさんあったのだろうけど)。具体的に何が問題だったのか知りたいが、想像から大きくは離れないのではないかという気もする。

そして津野さんは案の定こんなことを聞かれたそうだ。

津野「だって私これ、『住職と付き合ってましたか?』って聞かれたもん(笑)。付き合ってないですけどね(笑)」
NeoL -- 赤い公園『猛烈リトミック』インタビュー(後編)
組み合わせの意外さに驚く気持ちはわかるし、それが奇妙な切実さを持っていることで余計にこの質問をしたくなるのだろうけれど、この類の質問は基本的には少し失礼かなと思っている。つまり、フィクション内の出来事を実体験なんじゃないかと聞く、というのは作家の想像力の否定だからだ。これは受け売りで、ニコラ・グリフィスが『スロー・リバー』のあとがきで書いていたことなのだけど、わりと大事なことだと思っている。

ともあれ、ずば抜けて目立つわけではないけど、ユニークで存在感のある曲で、赤い公園以外からはちょっとこれは出てこないぞという感じの曲だと自分は認識している。


この時テンションが上がったのは、「わー赤い公園だ!」ということだけではなくて、この曲だったから、ということはやっぱりあると思う。よく知らないけど、たぶん今日日なかなか「108」かからないですよね。


赤い公園アドベントカレンダー2021」は架空の企画……だったはずですが、なぜか現実のものになりました。みなさんもふるってご参加ください。

*1:(「透明/coward」を除いて)11枚です。念のため。

メモ:飛ぶ鳥を落とす勢い

赤い公園を後から遡って追っていると、特に序盤のスピードには圧倒される。結成が2010年(まだこの時全員高校生)、メジャーデビューが2012年で、2月と5月にミニアルバムをリリース。これは直接バンドではないけどSMAPの「Joy!!」が2013年6月、1stフルアルバムが同年8月。ドラマ『ロストデイズ』主題歌が2014年1月、2月と3月にその主題歌「絶対的な関係」と「風が知ってる」を立て続けにリリース。2014年8月のGIRL'S FACTORYに出演、9月にリリースした2ndアルバム『猛烈リトミック』が年末にはレコード大賞の優秀アルバム賞を受賞する。ほぼ同時期に深夜のラジオ番組を持つ。もはや飛ぶ鳥を落とす勢いどころか、あまねく空を飛ぶものはことごとく地に墜ち、人々はその死骸の間をそろりそろりと進む羽目になるぐらいになっていてもおかしくないと思うのだが、現実にはそうでもなかったようだ。
なにしろ以前のエントリにも書いた通り、自分自身この間普通に同じ国に暮らしてたはずなのだが、上に書いた出来事を本当にひとつも知らなかった。もともとテレビもあまり見ないし音楽もすっかり聴かなくなっているが、そのような者には赤い公園の音楽は届いていなかったのだ。

届いていた人から、赤い公園はどのように見えていたのだろう。もうひとつなにかきっかけをつかめば誰もが知る存在になる、ブレイク寸前のバンドみたいに見えていたんだろうか? それとも上記の活躍にもかかわらずまだ知名度は不十分で、最近はだいぶ名前も売れてきたけどね、と言われるぐらいのバンドだったんだろうか。きっとこのぐらいの活躍だと、まだまだ後者のような感じだったのだろうな。そう考えると東京ドームで公演を打てるようなバンドになるというのは本当に大変なことだ。いいものを作れば売れるというものでもないし、お金をかけてばりばり宣伝すれば売れるというものでもまたない。なにかそういうものを超えたところに行く末を左右する何かがあるのだろう。

どこかのタイミングでブレイクしていたとして、それが赤い公園にとって幸せだったかというと、ちょっとわからないところはある。少なくとも自分たちがどう消費されるかについてはより規模が大きくなり、よりコントロールが効かなくなっていく。それはきっとめちゃくちゃ大変なことだ。それでも、津野さんは最後まで東京ドームを目指していて、「バチボコに売れたい」って言っていた。どこかでちょっとした何かが違えば、それがかなったタイミングがあり得たんだろうか。それはやはり来なかった未来にしかなかったんだろうか。