海辺の公園

赤い公園のファンブログです。

3rdアルバム『純情ランドセル』

全体

ボール

『純情ランドセル』を初めてかけた時、この曲のイントロにはっとしたことを今でも憶えている。まさかこんな音が流れてくると思わなかったという驚きもあったし、その音自体の美しさにも心を動かされた。鉄琴の、ちょっと小気味いいフレーズ。
鉄琴にかぶせてドラムが入ってきて、そのあとキーボード、ベース、ギターも加わって重々しい音になるんだけどこれがかっこいい。地球を宇宙に浮かぶボールに見立てる大局観が音になっていて、鉄琴はその上で輝く街の光か、それとも降り注ぐ星の光か。
「ああ私たちは神様のボールに」のところのベースは音階も音の歪み具合もすごい。そして佐藤さんのヴォーカルもこの曲ではかっこよく、しかも“昭和の23歳”らしい色気があると思う。

東京

西東京

新事務所の社長からのお題で「東京」という曲を書きあげた津野さんがその照れを原動力に書いたセルフアンサーソング(だと思う)。しっとりした「東京」に対しておりゃーっという勢いに満ちたロックンロールで、意外なほどバンドにはまった曲。
こういう曲でも本当に歌川さんのドラムはつんのめらなくて正確に速い。ひずんだギターは不協和音をかき鳴らし、ベースが涼しい様子でぶっとい音を並べる。Bメロの「新宿下北原宿渋谷の」の小気味いいことと言ったらない。
そしてサビの舞台設定に新青梅街道と田無タワーを持ってくるサービス精神。石野さんが加入してからもフェスでやってたらしいのでローカルソングとはいえ本人たちも気に入っていたのだろう。ラストライヴでもメドレーの中で披露された。

ショートホープ

まずドラムに耳が行く。もともとは津野さんが自分で叩いて作ったということだけど、仕上がりはめっちゃかっこよくなった。インタビュアーが人力で叩いていることを驚いていた歌川さんのドラム、本当にクールで、四小節で曲の空気を作ってしまう。
この曲はリズム隊がとにかくよくて、藤本さんのベースは重く、少しだけ後ろに引っ張るみたいなグルーヴを作っていてこれまた渋い。そこへ乗る佐藤さんのヴォーカルが大人の雰囲気。「だーいだーい」のところのかすれ具合が絶妙で、めっちゃ聴かせる。
ラストライヴでもやってくれたのだけど、石野さんがこの曲を手のうちに入れつつあるのがわかって凄かった。たとえば「だいだい」のところはちゃんと石野さんのものになっていた。こういう驚きと楽しみをもっと味わいたかったなと思う。

デイドリーム

あなたのあのこ、いけないわたし

いろんな曲にこう言っているがこの曲もイントロがかっこいい。冒頭のバスドラムが二拍入ってからギターが「(ちっ)じゃっ」と入ってキーボードへつながる二秒ぐらいの流れがすごくいい。やっぱり津野さんが考えたんだろうか。
行き止まりの恋を描いた歌だが、曲は驚くほど明るく美しいので面食らう。イントロから使われるキーボードが耳に残るフレーズを奏でて印象的。サビはこれでもかとばかりに上昇音階の連発なのに、シーソーは決してひっくり返らない。2番のサビでは伴奏がほぼキーボードだけになって、ふわふわと浮かぶようなフレーズの上にヴォーカルが乗って、恋の不毛さが頂点に達する。曲と詞の組み合わせが見事だ。これははっきり意図してやったようで、津野さんによると

生々しい内容の歌詞ではあるんだけど、サウンドがポップだから許されるというのもあると思いますね。そのあたりはaikoさんを見習ってるところがあるかもしれない。aikoさんって重たい内容の曲であればあるほどアップテンポにしていると思うんですよね。
純情ランドセル特設サイト -- LINER NOTES & INTERVIEW (Web Archive)
とのこと。

喧嘩

14

ハンバーグ!

イントロの音がちょっとレトロフューチャーっぽい。後ろに入ってる「ぴゅーぴゅーぴゅーぴゅー」みたいな感じの音が特にそういう感じする。一周してかえって古くさくはない(かもしれない)。
一拍目をぐっとためる符割りがAメロ(「こっ ぴどく」)からBメロ(「もう ずーいぶん」)にかけて断続的に続いているのが面白くて、独特のリズムを作り出している。たぶん名前ありそうだけどわからない。パーカッションや全員のコーラスもちょこちょこ入っていて、わちゃわちゃしてる楽しい曲。その中でベースがよくて、ちょっとずつ入ってるいろんな楽器のフレーズをずーっと底で支えている。
アウトロはイントロと対になっていて、なんかやたらかっこいいというか、「どやっ」って感じで終わるのでおもしろい。
津野さんはマザコン感満載の歌詞と言っていたみたいだけどそこまでではなく、むしろかわいい歌詞だと思う。ひき肉こねた手のくだりが妙な生々しさがあって好き。

ナルコレプシー

冒頭から入ってる指パッチンの音が生々しい。人力ではあんな風に鳴らせないから津野さんはそれが面白いと思ってやっていると思うのだが、自分は最初腕が二本生えている機械みたいなのを想像してしまってちょっと怖いと思った。すぐに気にならなくなったけど。
キーボードの音がやわらかく、おだやかなメロディの曲。ヴォーカルはオーヴァーダビングを使い倒していて、左右から交互に聴こえてきてゆっくりと引きずりこまれるような感覚がある。眠たい眠たい眠たい眠たい眠たい眠たいおなかいっぱいのところは圧巻。
この曲の作詞は藤本さんと津野さんのふたりがクレジットされている。全体に退廃的というか破滅的で、この言い方もあれだけどうっすらと死の雰囲気がある。デビュー前の合宿で作った曲だそうで、津野さんが歌詞を書くのに苦しんでいたら、藤本さんが書いてあげるよと言って書いてきてくれたというような話だったと記憶しているが、歌詞が書けなくて困っている津野さんにこんな詞を持ってくる藤本さんはほんとうにすごい。そしてその歌詞からこの曲を作った津野さんも見事だ。

KOIKI

イントロのめっちゃかっこいいドラム
https://twitter.com/u__takos/status/654867349103771648
から、ドラムが一旦叩き止めてギターが入ってくるところがいい。序盤のメロディは佐藤さんのヴォーカルのクールなところがよく出るような音域で、佐藤さんもちょっとだけ抑えめに歌っているように思える。YouTubeのコメント欄で「ピチカートファイヴっぽい」と書いている人がいたが、この曲の、特に出だしは確かにピチカートファイヴっぽい。
ベースがまた変幻自在で、曲を通して様々なフレーズを奏でるが、落ちサビのところでギターと絡むところは絶品。そこから最後のサビに雪崩れこみ、ここだけ1ライン「あきれて笑うあなたのそばで」という詞が差しこまれる構成も見事と思う。

黄色い花

おやすみ

MV

KOIKI

https://www.youtube.com/watch?v=ZQuKiqq6sg8
演奏を始める時に津野さんが腕を伸ばして袖をまくるところが最高にかっこいい。YouTubeには1番までのやつしか上がっていないのだけど、どこかのタイミングでフルのやつを上げてやってほしかった。

インタビューとか

インタビューのページに移しました。