海辺の公園

赤い公園のファンブログです。

4thアルバム『熱唱サマー』

全体

アルバムとしては少々過剰で、「カメレオン」「闇夜に提灯」「AUN」と続く並びからして力が入りすぎている感じはする。聴くのにエネルギーが要る。シングルを三枚出して、並行してこれを作って、佐藤さんの脱退が決まって、バンド自体がハイになっていたのだろう。それと、作っている途中ではもうライヴはやらない予定だったのだそうで、ライヴで再現することを考えずに自由にできた、と津野さんは語っている。それでちょっと過剰な音作りになっている面はありそう。

やや緩急に乏しい印象はあるものの、いい曲は多く、よくこれほどいいメロディをばんばん書けるものだ。個人的には「AUN」と「ほら」がすごく好きだけど、「ジョーカー」「セミロング」「プラチナ」とシングル曲以外にも佳曲が多くて、なかなかにすごいアルバムと思う。

カメレオン

闇夜に提灯

AUN

冒頭に宇宙人という歌詞が出てくるのに引っ張られているかもしれないが、イントロの音ちょっと宇宙っぽいと思う*1。90年代スペースオペラ的というか、すこし昔の未来っぽい雰囲気があるような気がする。全体的にピコピコした音が多め。
いかにも熱唱サマー的でドラムもベースも忙しないが、サビの前半の流れるようなリズムの上でヴォーカルが「さーがせどさがっせーど」と歌うのが素晴らしい。この直後の「くやめどくやめど」のところは普通の符割りなのもまたにくい。
一番と二番のサビの後半にでてくる(「阿吽の呼吸を感じたい」のところとか)ドラムが「どどっじゃどどっじゃどどっじゃんじゃーん」てなるところが好き。伝わる気がしない。元マネージャーさんのことを歌った歌ということだけど、それを超えた普遍性のある詞だと思う。

最後の花

ジョーカー

プラチナ

セミロング

津野さんの「この長い髪をばっさり切って(中略)明日から新しい私になるの、っていう人ほどそんなに行かない」というコメントを先に知ってから聞いた曲だったのでちょっと斜に構えてしまったけど、曲は普通にポップでいい曲。耳あたりがよすぎるぐらい。
転調はさりげなく、を旨にしていた津野さんだけど、この曲では真逆の「転調しますよー」みたいな転調を大サビでやっている。それも含めてあえていわゆるオーソドックスな構成の曲をやってみた曲だったのかもしれない(この曲は津野さんがプロデュース)。
とはいえサビのベースはいつもにもましてかっこいいし、鍵盤(クラビネット、らしい)のぼよんぼよんした音とか、このバンドらしい要素はしっかりある。
けっこう長いこと「歌い手の女の子が別の女の子について歌った歌」だと思っていたので、ある時ふと歌詞を見て最後の最後に「僕のもとへ」とあるのを見てびっくりしてしまった。そう思って聴いてみるとまた違った味わいが出てくる。
津野さんの書く盆暗男子恋愛ソングはなにか妙なユーモアがあって、といってもこの曲と「誰かが言ってた」ぐらいしかないんだけど、もう少し聴いてみたかったと思う。

BEAR

ほら

アップテンポのロックンロールでアレンジもシンプルな王道の曲。メロディも歌詞もすごくよくて心に響く。津野さんが高校生の頃書いた曲ということだけど、驚くほどできはいい。アレンジもほぼそのままだというからひっくり返りそうになった。てっきりアレンジはやり直したものかと。
バンド始めたての高校生の初期衝動をキャリアを重ねたプロのバンドが演奏してパッケージしているというのと、歌詞の「大人になった僕らは何をしているのかな」というフレーズが呼応しているということも含めて、胸の熱くなる要素が詰まった曲だと思う。

それはそれとして、ゆうパラによると津野さんは作詞の後藤さんに卒業後会っていないそうで、連絡もしてなさそうなんだけど、こんな風に使うときって連絡ぐらいしないんだろうか。放送後になにかあったりしたのかな。

journey

勇敢なこども

MV

カメレオン

https://www.youtube.com/watch?v=pUPDDQlHyUU
音はアルバムのほうなのに映像が熱唱祭りだからちょっと違和感がある。MVの演奏シーンなんてみんな空演奏なんだけど、実際のライヴ映像だとまたちょっと違ってくるというか。

闇夜に提灯

https://www.youtube.com/watch?v=oU73rHJ6tWQ
最初の90秒だけ。最初モノクロなのにばって色つくのかっこいいんだけど、サムネイルの白塗りみたくなっちゃってる佐藤さんの顔が正直ちょっと怖い。

恋と嘘

https://www.youtube.com/watch?v=4HXlvBGBjO0
これはフルMV。ブレイク前の伊藤沙莉が主演で、赤い公園のメンバーは鏡の中に映りこんで登場するという、ちょっと面白い趣向(元ネタありそうな気もするけども)。

journey

https://www.youtube.com/watch?v=ISisSA_Gpnk
メンバーそれぞれが赤い衣装を着て別々の場所で倒れているという奇妙な映像。佐藤さんは海辺の崖の上、津野さんはビルの屋上、藤本さんは工場のそばの空き地に停めたオープンカーの座席、歌川さんは空のプールの底。佐藤さんは歌っているがあとの三人はびくともしない(涙を流すカットがある)。この四人で撮った最後のMVがこれというのもなかなかすごいと思う。

インタビューとか

インタビューのページに移しました。

*1:これは実際そうだったらしい→https://twitter.com/kome_suck/status/901319822939574272