海辺の公園

赤い公園のファンブログです。

11thシングル「オレンジ/pray」

全体

ドラマ『時をかけるバンド』のオープニング&エンディング&挿入歌。

オレンジ

自分が初めて聴いた赤い公園の曲。
YouTubeでリコメンドされたとか、そんなきっかけで聴いたと思う。とにかく主体的に赤い公園というバンドの曲を聴こうとしたわけではまったくなかった。それでもバンドの名前と、メンバーが変わったことと、不幸があったことだけは知っていた。すごくいい曲だった。三回聴いてからは毎日聴いた。飽きたくないから一日一回と決めて、毎回味わって聴いた。
この曲の好きなところは多すぎてなにを書けばいいかわからないけど、威勢のいい曲なのに乗っているメロディがどこか切なくて、それをまたなにか哀愁のある雰囲気のボーカルが歌っているのがすごくよかった。この曲の石野さんは大げさに表に出しはしないけれど悲壮感のようなものをたたえていると思う。「ちがう ちがう」のところの振りが好きになった。
アレンジもよかった。「それをくり抜いた私」の直後のベースライン。津野さんがピックを咥えて椅子に座り、メロディに重ねられるキーボードの音。最後のサビの「沈んだオレンジ」のところの渾身のドラム。聞くたびに発見があって、しみじみいい曲だと感じた。
MVの最後に、メンバーの名前の入ったイラストが流れる。自分は普通にありがたかったけど、あらためて考えると、結成10年のバンドがこれをするのは明らかに意図があったはずだ。きっとこの曲で自分たちを初めて知る人が数多くいるはずだという自信があったのではないか(裏返せば自分たちはまだまだ顔が売れていないだろうという自認をしていたことにもなる)。そしてそれは想像しなかったであろう形で現実のものになってしまうわけだが……。古塔つみ氏のイラストはその意図に応える素晴らしいものだった。

pray

最初は綺麗な曲だな、くらいの印象だったが、すぐにオレンジとセットで聴くようになった。おそろしく美しいメロディで、歌詞とMVの映像も併せて別離を想像させずにはおかない。偶然だとわかっていても、どうしてこの曲が残されたんだろうと思ってしまう。

衛星

MV

オレンジ

演奏風景だけのシンプルなMV。石野さんの表情がちょっと物憂げなのがよい。2番で津野さんがピックを加えてキーボードの前に座るところと、逆に間奏の前に立ち上がってギターを弾き始めるところが見もの。それにしてもみんな楽しそうに演奏するよね。

  • 実際にはキーボードの前に座ってからもギターの音が鳴っている。唯一この曲を津野さんがライヴで演奏した SHOKA TOUR DAY 0 ではキーボードは使わなかった。

pray

四人が日帰り旅行に行くイメージの映像。ロケ地は房総半島なのかな。喫茶店で軽食を食べる、レンタカーでドライブする、遊覧船に乗る、などの場面が短くつながれるが、津野さんのことを知ってからこの映像を見て暗示的なものを感じない人はほとんどいないだろう(そしてこのCDは2020年11月にリリースされたのでほとんどの人は知っていたはずだ)。喫茶店でひとり振り向く津野さん、車から降りてこない津野さん。ただそれは切なくて美しい思い出の旅のひとこまに過ぎなかっただけであろうのに。
美しい映像と美しい曲で、「オレンジ」と併せてこのMVが残されてよかったと言える作品。赤い公園最後のMVとなった。

  • 「オレンジ」「pray」ともに監督はスミス氏とのこと。参照→SMITH -- WORKS 『時をかけるバンド』でも監督としてクレジットされている。